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〔瀬戸内:子孫、長曾我部編〕


元親は目を見開いて自分を凝視する目の前の少女に首を傾げた。

「う、そ…。長曾我部 元親?マジで?」

「あぁ。鬼が島の鬼とは俺の事よ」

フッと笑みを浮かべた元親に湊は相手が濡れるのも構わず飛び付いた。

「元親様!お会いできて光栄です」

「お、おぅ」

回りにいた部下達は湊に抱きつかれている元親を見てモテモテッスねアニキー、ヒューヒューと囃し立てた。

当然その騒がしさに泉が黙っているわけもなく…。

「五月蝿い奴等め。おい、そこの!ここは何処だ?」

ジロリと睨まれた元親の部下はさっと反射で答えた。

「四国です。毛利 元就様の元へ向かっている途中です!」

「毛利 元就?」

泉は気になる単語を拾い、秀麗な眉をひそめた。

「はっ、はい。それがどうかしたんスか?」

「貴様には関係無い。…フッ。そうか、そういうことか」

泉は元親にじゃれついている湊の元へ歩を進めると湊を引き剥がした。

「わっ!」

「ここでコイツを消せば俺の未来は安泰ってことだな」

何だ?、と見下ろす元親に泉はうっすらと口元に笑みを浮かべた。

「長曾我部、俺の未来の為に死ね」

「あ゛?」

武器である輪刀が無いため、泉は服の内側に忍ばせていたナイフを素早く取り出そうとした。

が、それは湊に阻まれた。

「そうはさせるかっ!元親様がいなくなったらオレが存在できないだろ!泉の馬鹿!」

泉は服に手を突っ込んだ間抜けな格好で止まった。



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